お知らせ / ブログ

【コラム】日本の台湾式足つぼは、もう過去のもの?


古い情報が浸透した日本の足つぼ

日本に台湾式足つぼが紹介されたのは約35年前。当時の反射区の数は約64箇所でした。しかし、2024年12月現在では89箇所にまでアップデートされています。この事実を知っている足つぼ師は日本にいったい何人いるでしょうか?

台湾式足つぼは、その発展とともに新しい研究成果や技術が取り入れられ、進化を遂げています。それにもかかわらず、日本ではいまだに過去の情報が基盤となっているケースが多いのです。

日本の足つぼ業界が抱える問題

台湾式足つぼの歴史は50年。台湾で足裏マッサージブームが起きてから日本に訪れるまでにそう時間はかかりませんでした。そして35年前に日本へ到来後も、台湾ではさまざまな文献や歴史を元に現地の施術師たちによる研究に基づいて改良が続けられていました。その進化を象徴するのが、先ほど述べた反射区の数です。

当初の64箇所から現在の89箇所への変化は、台湾の施術師たちが膨大な研究と実践を重ねた成果です。しかし、日本ではいまだに旧来の情報が主流です。

例えば、日本では足つぼを題材とする情報が健康系インフルエンサーによって広く共有されていますが、実際の台湾での進化を正確に理解している情報発信者はほとんどいないのが現状です。このギャップが、日本における足つぼの発展を妨げている要因の一つと考えられます。

また、“痛みを伴う”施術を面白おかしく取り上げることで、SNS上で話題性を狙って集客をする風潮も見受けられます。「痛ければ痛いほど効果がある」という誤解を助長し、それが演出の一環として利用されていることも、日本の足つぼ業界が抱える大きな課題の一つです。

本場台湾が教えてくれたこと

そこで、日本でまかりとおるさまざまな台湾式足つぼの常識が嘘か真か確かめるべく、私は自ら台湾へ足を運び、現地の施術師たちとの交流を試みました。その目的は、「台湾式足裏マッサージの父」と呼ばれた呉若石神父の今を解き明かすことでした。

たくさんの方々の協力を得て何度も台湾の地を訪れ、台北に散らばる施術師の方々とお話しする機会を得ることができました。最終的に行き着いた場所は、台南のとある教会でした。そこでは呉若石神父の側近の方々と、現在の日本と台湾の足つぼ業界の現状について深く話し合いました。

その中で驚いたのは、今の日本の足つぼ業界が35年前からほとんど変わっておらず、日本に伝わった足つぼは“反射療法”ではなく“足裏マッサージ”として区別されていたという事実でした。それもそのはず。台湾の足つぼ業界では研究と技術が絶え間なく進化を続けることによって、まったくの別物へと昇華していたからです。

現地での経験を通じて、私は台湾の施術師たちがどれほど熱心に新しい技術を追求しているかを知りました。そして、それに触発される形で、日本の足つぼ業界が抱える課題と未来への可能性を改めて認識しました。

日本の情報の古さばかりを強調してきましたが、実は台湾国内でも同じことが言えます。足つぼ好きな方はご存知かもしれませんが、台湾国内にはコンビニ並みに足裏マッサージ店が存在します。そして40〜50年の歴史の中で、さまざまに分裂してきてきた背景により最新の情報を持ち合わせていない施術師の方もたくさんいます。台湾では「足つぼマッサージ」という言葉よりも「足裏マッサージ」と呼ばれることが一般的ですが、それが目印です。呉若石神父たちは、“足裏(足つぼ)マッサージ”と“反射療法”をはっきりと「別物」とおっしゃっています。ちなみに「足つぼ」という言葉自体は、日本で作られた用語であることは意外と知られていません。

従来の足つぼへの敬意

台湾の足裏マッサージ店の多くは、日本人をはじめとする海外からの観光客で成り立っています。コロナ禍の数年間、多くの店舗が残念ながら閉店を余儀なくされました。しかし、その中でも生き残った店舗は、本当に現地の方々から愛されていた店や、コロナ後に観光客で持ち直した店です。

興味深いのは、観光客で成り立つ店舗でどのような施術が行われているか、という点です。台湾国内で広く採用されている施術スタイルは、フットスツールを使用したものが主流です。これは、台湾式足つぼがビジネスとして確立された時代のスタイルそのものであり、いわば「THE台湾スタイル」とも言えるものです。

私自身、このスタイルを否定的に捉えているわけではありません。むしろ、長年にわたり多くの日本人観光客を魅了してきた台湾式足つぼの文化的遺産としてリスペクトしていますし、私も日本に伝わった従来の足つぼから業界に足を踏み入れました。このスタイルを愛する人々がいる限り、それは大切に守られるべきものであるし、日本人から愛される従来の形を活かしながら発展するべきだと思います。

アカデミーの責務とは

各施術スタイルの良さを残しつつ、個人開業が盛んな日本人に合わせた技術提供が今の日本の足つぼスクールには必要だと思っています。昔の良さを残しながらも、最新の反射学を取り入れることは、今の日本では我々フットセラピストアカデミーにしか行えないことです。

足つぼ師やリフレクソロジストたちが「正しい知識と正しい技術」を持って活動することのために、我々アカデミーは常に研鑽し続けなければならないと思っています。

台湾現地で学んだ最新の技術と知識をもとに、日本の足つぼ業界をより良い方向に導き、多くの人々に健康と癒しを提供できる未来を目指しています。それは単なる技術の継承ではなく、新しい時代の足つぼ文化を創造することだと考えています。アカデミーは、そんな日本の足つぼの未来を一緒に創る仲間たちを探しています。